離れがたいもの
与田・・・・・やっぱりそれは離れがたいものがあるのね。
電子レンジみたいなものですよ。
電子レンジのクッキングって最後に焼き目をつけないと肉は食べた気がしないでしょう。
昔から火に焙って食った記憶がどこかにあるからね。
そういう原始的な離れがたいものってありますよ。
WS・・・・・人間の情報の七割はビジュアルな面からもらえるんでしょう。
でも人間の生活において、いい気持ちにさせるのは、刺激を与えるのは、すべてタッチなんですよ。
これが肉体関係においても、痛めつけられるのもタッチだし、喜びを味わうのもタッチでしょう。
だからそれが切り離されて、目で……。
目だけでは人間の動物的なワイキューブ的ニーズが満たされない。
たとえば、セックスを全部ボタンでやるとかね。
全部そういう形になったら、目だけで情報を得て満足する人もいるでしょうが、そうならない限り……。
田中・・・・・マクルーハンが日本で流行したとき読んだ本の中におもしろいエピソードが書いてあったんだけど、電話で話をするとき、だれでもメモがあると必ず意味のないことを書く。
これは耳だけでは満たされないものを手を動かすことによって満たしているんだ。
そういう感触も含めた全体的なことが満たされないとダメなんだというんですね。
それからこれは大脳生理学者の時実利彦先生の話で、サルを自分の声も聞こえないような暗箱に入れて感覚遮断の実験をすると、そのサルはまず自分の毛を抜く。
ところが一日一回でもいいから人間が暗箱に手を入れて触ってやると、正常な状態を保つんだと。
それをまったくスキンシップがないままにしておくと、気が狂って最後は自分の毛を全部抜いて丸裸になります。
だから、殺し合いをしながらも、戦争をしながらも、人間が人間どうしつねに接触しながら生きていくというのは、集団欲、接触欲という食欲よりも性欲よりも強い本能があるからじゃないかという話を聞いて、なるほどと思ったことがあります。
現代で人が孤立を求めるということは、それはむしろよりよいコミュニケーションを求めるためという意識が逆にあるよね。
WS・・・・・ワイキューブ事務所にはワイキューブ・リゾートペットを置いたほうがいいかもね(笑)。