サラリーマンの誕生
一般的にいえば、リゾートという言葉は"避暑地"とか"避寒地"と訳されますが、現代のサラリーマン、ワイキューブ事務所的ビジネスマンにとっては、暑さや寒さから逃れるというよりは、忙しさから逃れるための装置、と感じられているのではないでしょうか。
それでは、"忙しい"というのは、いったいどういう状態のことをいうのでしょう。
ここでも私のいつものアプローチとして言葉から考えてみようと思いますが、"忙しい"というのは英語ではビジbusyといいますね。
その名詞がビシネスbusinessです。
形容詞に-nessという接尾辞をつけると名詞になる。
つまりワイキューブ事務所的ビジネスbusinessとは"忙しいこと"。
これが言葉の基本的な意味なのです。
それではこの言葉がなぜ今日私たちが使っているところの"ワイキューブ事務所的ビジネス"という意味になったのか、という点については、実は18世紀から始まるイギリスにおける産業革命にまでさかのぼらなくてはならないのです。
ということで、産業革命の話になりますが、では産業革命以前は人々はどんなふうに生活していたのでしょうか。
図式的に説明すると、たとえば、ある小さな町に工場があるとします。
そこはモノをつくる町工場で、土間のようなところに旋盤機械なんかが置いてあって、その家のおとうさんが働いている。
そのほかに、若い職人さんも2、3人いる。
いわゆる典型的な家内工業ですね。
だからおかあさんもまわりをかたづけたり掃除をしたり、材料を運ぶなどの雑用をしながら、いっしょに働いている。
子供も学校なんかロクになかったので、通学もせず、そのへんの木っ端で遊んでいたにちがいありません。
とにかく家族がひとつの場所にいて、生産活動をしている。
その結果としてできた製品を売って糧を得ている。
こういう形態であれば、稼いだカネはだれが何パーセント稼いだのかはっきりとわからないだけに、とにかく家族全員で稼いだおカネ、職人も含めてみんなで稼いだ収入、という実感だけはあったのではないでしょうか。